PFAS(有機フッ素化合物)を知り、遠ざけよう!
有機フッ素化合物(PFAS・パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)は、テフロン加工や泡消火剤、半導体の製造、プラスチック製の食器、化粧品、家具、撥水加工をした布など幅広い製品に含まれる物質の総称です。自然界でほとんど分解されず、体内に取り込まれると排泄されず蓄積しやすいため、「永遠の化学物質」と呼ばれます。
PFASは約5000種類あると言われており、代表的なものにPFOSやPFOAがあります。中でも毒性が強いPFOSは約10年前に使用禁止となっていましたが、PFOAは新たに毒性が確認され、2019年5月の国連で製造、使用の禁止が決議されました。しかし、これまでの製造、使用過程で水とともに地下に浸み込んだPFASは、自然界で分解されないため、時間をおいて人体に影響を及ぼし続けます。
各国では水道水に含まれるPFOA/PFOSに対して目標値を設定し、日本も2020年2月、「令和元年度第2回水質基準逐次改正検討会」で暫定的にPFOA/PFOS合わせた目標値を50ng/ℓに設定しました。(1ナノグラムは10億分の1グラム、50ng/ℓというのはオリンピックの50メートルプールに塩1粒くらいとのこと)
これはイギリスやドイツと比較をしてもかなり厳しい数値でしたが、2022年6月、アメリカはPFOS 0.02ng/ℓ、PFOA 0.004ng/ ℓ、合わせて0.024/ ℓと、以前の基準値70ng/ ℓと比較して3000分の1という非常に厳しい基準まで上限を引き下げました。
米PFAS に関する国際条約や各国の規制について https://www.knights.jp/knightsreport/reports/KR22001.pdf
横田基地の泡消火剤によるPFOS汚染の報道は、2018年12月にさかのぼります。
東京・生活者ネットワークは、2020年1月8日に東京都に対し「水道水源井戸の有機フッ素化合物汚染の原因究明と汚染除去を求める要請」を提出しています。
この中で、地下水は、揚水しないと水脈を伝って汚染が広がる危険があり、PFOS、PFOAは活性炭で除去できることから取水を続けるべきであるということ、貴重な水源の活用ということだけでなく、汚染の拡散防止という観点からも揚水し続けることが重要だということも併せて要請をしました。
環境省が2021年度に実施した河川や地下水の調査では、31都道府県のうち13都府県81地点で暫定的な目標値を上回る高い濃度が検出され、東京都の多摩地区では特に高い数値が確認されています。
しかし、今年2023年1月3日の東京新聞の報道によりますと、都が汚染によって取水を停止した井戸が7市、11の浄水施設の34本に増えていることが判りました。
(2023年1月3日東京新聞記事より)
これらの水源井戸は、全て米軍横田基地の東側にあり、地下水は西の山側から平野部の東側に流れていることから、汚染源は井戸の西側にある可能性が高いと推測されていますが、日米地位協定により横田基地内の水質検査が進んでいません。
国、都は汚染源について直ちに調査を行うべきです。
稲城市の水源井戸は大丸浄水所と 坂浜配水所があり、坂浜配水所については施設整備のため浄水処理停止中であり、大丸浄水所での監査結果はPFOA/PFOS合計値が5ng/ℓ以下と、おおむね良好であるとの回答でした。(山岸議員への回答)
ただし、基準は暫定的なものであり、国際基準もなく、国の専門家会議も立ち上がったばかりであり、微量であっても安心とは言えません。
まずは正確な情報提供が必要であり、ホームページでの情報公開を求め、これについては、質問日の翌日、3月7日より掲載がスタートしました。
この頁の「配水系統~ご家庭の水道水情報」をクリックし、ご自分の住んでいる住所を入力すると、検査をした給水栓と主な配水先の浄水場、給水所、配水所などの最新の検査結果を知ることができます。ぜひご活用ください。
市ホームページ「水道水における有機フッ素化合物について」QRコード
また、多摩地区30の自治体議会の代表で構成する「三多摩上下水及び道路建設促進協議会」では6自治体から環境省、東京都に対し、「PFASの調査やモニタリング結果について、迅速かつ分かりやすい情報提供」についての要望が出されています。
PFASについては、飲み水だけではなく他の様々な製品に使われており、「消費者センターだより」などで、そのことをわかりやすく周知し注意を促すことも大切です。
(※稲城消防署が使用している泡消火薬剤は平成12年以前から非PFOSのものに切り替えていることが村上質問で明らかになりました)
※NPO法人ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議が作成した読みやすいパンレット、「PFAS(有機フッ素化合物)汚染環境と人体を蝕む「永遠の化学物質」の規制に向けて」をご紹介します。
多摩地域では市民団体が専門家と協力し、住民の血中濃度などを独自に調査した結果、これより先に調査が行われた沖縄市などを上回る数値が確認されて住民の不安が増大しています。今住んでいる地域は大丈夫でも以前住んでいた地域の汚染が高かったということもあります。
社会医療法人社団「健生会」(東京都立川市)が4月以降、専門知識を持った医師による健康相談窓口「PFAS相談外来」を設置すると発表しています。全国初の取り組みで、「立川相互ふれあいクリニック」(立川市)など多摩地域の5カ所前後の診療所があり、同会は、昨年11月から「多摩地域のPFAS汚染を明らかにする会」が実施する地域住民のPFAS血液検査で採血会場も提供し、協力してきたところです。不安のある人には一つの拠り所となるかもしれ
ません。また、健康影響に関する科学的知見を集める場所にもなってほしいと願っています。
こちらは3月議会における村上洋子の一般質問の録画です。是非ご覧ください!