精神疾患を患った当事者と家族の支援について

稲穂会会長  堀尾 兼三郎

厚生労働省において「こころの健康政策構想会議」が行われています。
しかし、現実には、未だ精神疾患を患った家族の苦しみが、理解されていないような気がしてならないのです。もう一度、家族の現状を理解していただくために、記します。
症状により、暴力を振舞われたことのある家族、また、自殺ほのめかしやリストカットなどの行為に、いつ問題を起こすかと、常に恐怖心や心理的不安を抱えて生活しています。又、幻聴や妄想をもった当事者の家族は、頻繁に大声を上げざる得ない当事者、妄想行為により、どうしてよいかわからない家族、相談したくても家の中から電話が出来ない家族、引きこもっている当事者いる場合は、安心して働きにも出られない状況の中、低所得の家族が多いのが現実です。
こういった家族は、地域の差別や偏見、自らの差別や偏見により、孤立・困窮してストレスから、うつ病になったり、慢性の疲労感を抱え、高血圧症・癌・心臓疾患などを併発している家族が多くいる状態です。
このような背景から、先の参議院選挙時に、各政党のマニフェストとして初めて精神の問題が政権公約として取り上げられました。
厚生労働省は、平成23年度事業予算として「精神障害者アウトリーチ推進事業」を要求しています。この事業は全国の47都道府県が実施し、医療法人等に委託します。
「こころの総合支援チーム」として、3人以上の多職種チームで、対象者のニーズに応じて精神科医・看護師・臨床心理士・精神保健福祉士・作業療法士・相談支援専門員・ピアサポーター(当事者)の中から何人かがチームを組んで訪問します。
これに先がけ、西多摩地域では、「訪問看護ステーション カナイ」は看護師9名で起業し、自立支援医療費を利用し、主治医の指示書をもらい訪問看護、対象者は当事者および家族で、週2回で、無料で行っているのです。
稲城市においても、こういった取り組みを行ってもらいたいと思います。