レポート NO.83

食の安心・安全の回復にいま必要なこと

繰り返される食品や原料の事故や偽装事件、食の安心・安全が脅かされ続けています。一つには、産地や生産方法の確認が難しい他国からの輸入に依存しすぎている食料自給率の低さが背景にあります。さらには私たち消費者の「知る権利」にきちんと応えた食品表示ではなく、「わかりにくい表示」を認めている制度的な問題があります。

選んで、納得して食べたい』素性がわかる食品表示を! 
多くの消費者は加工食品原料がどこの国でどう作られてきたのかというトレーサビリティ(履歴)や原料原産地を「信頼できる表示」で確認して購入したいと思っています。しかし私たちが日常的に利用している多くの加工食品や、調理済み冷凍食品には、原料原産地の表示義務がありません。       
加工食品の産地偽装や毒物混入等の問題発生から、東京都が消費生活条例を改正し、09年6月から、国内製造の調理冷凍食品の原料原産地表示に踏み切ったことは大いに評価できるものです。ただし、重量割合上位3位以内でかつ5%以上や、商品名および同一面の説明に記された原材料を対象としたところに、まだ課題も残っています。

世界中で日本人が一番食べているはずの「遺伝子組み換え」食品はどこへ?
義務表示対象はわずか32加工食品群。よく使う醤油や食用油などは任意表示のため、無記載は「遺伝子組み換え」ですが、豆腐は義務表示なので、無記載の場合は「遺伝子組み換えでない」ということになります。これでは消費者は、判断できません。食品表示制度に問題があるのは明らかです。   
さらに表示対象であっても、食品全体に占める割合が、重量比で上位3番目までで、かつ5%以上の組み換え原料が使われた場合にしか表示義務がありません。しかしEUの国々では、加工食品全体に組み換え表示を義務化し、意図せざる混入も0.9%までしか認めないという厳しいものとなっています。 

既に商業化された受精卵クローン。体細胞クローン由来食品の安全性に疑問!受精卵クローン家畜由来食品は任意表示のため、知らずに食べ始めています。体細胞クローンは、死産及び肥育期の病死が多発しているにもかかわらず、09年6月、食品安全委員会は安全と評価しました。
 「食べたくない」と考える消費者の知る権利に基づいて選択できる表示が必要だと考えます。

信頼できる食品表示を求める活動に、稲城・生活者ネットワークは賛同し、参加します。
①加工食品原料のトレーサビリティ(履歴)と原料原産地の表示を義務化すること。
②すべての遺伝子組み換え食品・飼料の表示を義務化すること。
③クローン家畜由来食品の表示を義務化すること。
署名活動に、ご協力よろしく
お願いします。