稲城・生活者ネットワーク レポートNO.82

2009年1月30日発行

東京を生活のまちに
必要なしくみは市民がつくる

東京・生活ネットワーク都議会議員の原田恭子と、市議会議員の中村みほこが、生活者ネットワークの活動と都政について話し合いました。

子どもの教育はもっとのびやかに

原田 生活者ネットワークは、教育の問題についても多面的に取り組んできました。監視カメラ設置に象徴される都の教育行政は管理・規制、警察との連携が強化され、非常に窮屈な状況になっていますね。

中村 今の子どもは「私なんか・・。どうせ・・」というように自己肯定感をもてない子が多いのが気になります。「大人にとっての良い子」ではなく「ありのままのその子」を認めていくことが、親や教職員をはじめ周囲の大人たちに求められる視点だと思います。その上で自立に必要な社会性や学力を身につける教育の場であって欲しいですね。

手厚い人の配置が教育を変える

原田 一人ひとりの子どもが力をつけていくためにも、各学校や学級の状況に合わせて一クラスの人数を決めたり、複数の担任を配置するなど、人的配置を含めて十分な予算を配分して欲しいところですよね。

中村 スクール・ソーシャルワーカーを配置する自治体も出てきました。子どもを取り巻くさまざまな問題も家庭に押し付けたり、学校現場だけで抱え込もうとしないで、福祉や医療、心理の専門家や地域の人たち、みんなで子どもや家庭・学校を支援していくために、開かれた体制づくりをこれから進めていくことが重要ですね。

調査活動から、必要なしくみを市民がつくる

中村 生活者ネットワークの活動の大きな特徴は調査活動からの提案です。99年から継続している介護保険制度検証のための調査ですが、06〜08年は介護予防調査を行いました。対象者のお宅や包括支援センターに伺って聞き取りをするので、さまざまな生の声が聞けました。

原田 在宅介護を支援するためには、地域のかかりつけ医や往診制度なども含めた地域医療のネットワークが大事だとわかりましたよね。
生活者ネットワークは地域の医療と保健・福祉の連携強化や、在宅療養支援診療所と訪問看護ステーションとの連携、質の高い看護師の確保などを都に対して求めていきます。

誰もが集える「なごみの家」がオープン

中村 公的なサービスの隙間を埋めるためには、地域のコミュニティづくりが必要ですよね。一年前に東長沼にある空家を活用して地域の人が始めた、誰でも集える居場所「稲城・なごみの家」では、高齢者から子どもまで一緒におしゃべりや歌、食事をしたり、家庭的でみんな楽しそうです。

原田 身近なところにこういう場が増えていくと高齢者の孤立を防ぎ、相談や情報交換もできて良いですね。行政サービスだけでは高齢者の地域での生活を支えられなくなっています。市民と行政との協働で、市民が必要とする事業を「新しい公共」と位置づけ、地域のNPOや市民団体が担っていくことも重要だと思います。

地域医療の連携で安心して子どもを産めるまちに

原田 東京・生活者ネットワークが実施した、3年以内に出産をした人、妊娠中の人に聞く調査からは、「お産ができる病院を探すのが大変」「出産費用が高い」などの切実な声がありました。リスクの高い出産が増え、総合病院での出産に集中する現状も事態に追い討ちをかけています。

中村 稲城の市立病院でも一月から出産費用が上がりました。産科・小児科医、助産師の確保は緊急の課題です。頑張っている公立病院には国や都からの支援策を求めたいものです。
原田 地域や病院内の助産師が本来の役割を発揮できるよう、医療機関や産科医との連携、さらに産前産後の相談機能の充実、家事・育児の支援体制作りなど、都と自治体の連携ではかるときですね。

米軍施設「多摩サービス補助施設」の返還を!

中村 稲城市と多摩市にまたがっている多摩弾薬庫跡地は、現在は米軍用のレクレーション施設になっています。私たちが市民団体として見学に入った時は住民票の事前提出や写真付きの身分証が必要でした。身近な場所でありながら、まだ占領されているということを実感しましたね。稲城・生活者ネットワークでは、返還まではより多くの市民への開放を求めています。

原田 9.11のテロもあってきつい監視となったのでしょうが、一日も早い全面返還を実現したいものですね。

《原きょんパーク》
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                 都議会議員 原田恭子